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昆虫写真家 海野和男氏による「TG-4 + FD-1」 レビュー記事

昆虫写真で著名な写真家、海野和男氏が、オリンパス製タフカメラStylus TG-4 Toughと、フラッシュディフューザー FD-1をとことん使って撮影。レビュー記事を執筆して頂きました。

掲載日:2016年3月29日

マクロモードでの使い勝手が、飛躍的に良くなった

Stylus TG-4 Toughは、ぼくのお気に入りのカメラ。どこにいくときも、ポケットに必ず入れている。画質劣化のない光学ズームで、横幅7mmぐらいの被写体を画面いっぱいに写せる。昆虫など1cmにも満たない被写体が多いぼくにとっては、なくてはならないカメラである。

ファームウェアのバージョンアップで新しくなったTG-4の特筆すべき点は、マクロモードでの使い勝手が飛躍的に良くなったことだ。今まで、マクロモードにした場合、フラッシュやLEDライト、ホワイトバランス、ISO感度の設定、AFターゲットの位置は、電源を切るとリセットされる。TG-4は高感度での画質はOM-Dより劣る。従って、できるだけ低感度で撮りたく、いちいち再設定していたのだ。しかし、バージョンアップ後のTG-4は、これらの設定を引き継ぐので、設定しなおす必要がなくなって、すごく快適になった。

OM-Dに、ひけをとらない高画質

超接写(マクロ)でフラッシュが使えたら、どんなに素晴らしいことかと思っていたが、ついにその時が来た。TG-4のファームウェア・アップデートと同時発売の、フラッシュディフューザー FD-1というアクセサリーを、TG-4に取り付けると、TG-4は別物のカメラのように輝いた。TG-4のメニューからFD-1という項目をオンにすると、ISO感度設定のメニューが消える。「勝手に高感度になると困るな」と思ったのは杞憂で、低感度を使用するように設定される。絞りも、明るすぎない限りは、できるだけ開放にセットしてくれる。素晴らしいプログラム設定だ。FD-1を使えば、TG-4もOM-Dにひけをとらない高画質で、簡単にマクロ撮影できるということだ。

雨上がりの水滴。FD-1を取り付け、フラッシュ発光で撮影。

葉の裏にいた脚の長いカミキリ。FD-1を使ってライティング。

ハラビロカマキリの仲間を、TG-4の顕微鏡モードで撮影。

フラッシュディフューザー FD-1を使うと、メリハリがきいた写真となる。複眼や偽瞳孔もクリアーに写せる。

効率の良いプログラムオート

新しいファームのTG-4は、「できるだけ低感度で速いシャッターを切りたい」という、ぼくの要望にちゃんと応えてくれる。撮影距離が20cm以内のマクロ撮影では、概ねISO 100の設定になるようだ。絞りは開放に固定、被写体までの距離が20~30cmの場合はISO 100~200になった。これはマニュアルで感度設定するより、はるかに効率の良いプログラムオートだ。絞ることによってシャッター速度が低下し、ぶれた写真になってしまう問題点を克服してくれた。

フラッシュを発光させないで、通常の顕微鏡モードで撮影した1cm強のゾウムシ。

FD-1でフラッシュ発光。逆光でもクリアーに色が出る。

常に高画質の写真を撮りたいので、風景の撮影においても、FD-1を付けたままフラッシュを光らせていたが、一日使っても電池の持ちはまったく心配なかった。しかも、JpegとRaw両方の画像フォーマットでの同時撮影である。

FD-1を使うメリットはとても大きい

新しいファームのTG-4には、フラッシュのスレーブモードが加わった。これは深度合成モードで、FD-1を使う際に便利なモードだ。9枚連写するので、撮影には5~10秒ぐらいかかるが、動かない被写体なら手持ちでの撮影が可能だ。昆虫を撮影する場合、全面的にピントの合う写真を撮ることは難しいので、フォーカスブラケット30枚の設定で撮影し、そのうちの24枚をフォトショップで合成してみた。FD-1を取り付けた際の光は、やわらかい。このようなマクロ撮影にも適している。深度合成の場合も、フォーカスブラケットも、画面の奥行きの1/3ぐらいの位置にピントを合わせ、一番手前に戻ってからピントをズラして撮影する。

ホウセキゾウムシ。30枚の設定で撮影し、24枚の写真を合成。隅々までピントの合った写真が撮れる。

ホウセキゾウムシの、標本の目玉にピントを合わせて、フォーカスブラケットでシャッターを切った。

マクロ撮影の際に、FD-1を使うメリットはとても大きい。フラッシュは閃光時間が短いので、ブレを軽減できる。また、FD-1はフラッシュの強さを2段階に切り替え可能だ。基本は広角側では弱い光量、望遠側では強い光量を使用する。ただし被写体が離れているときや、黒っぽい被写体の場合は、広角側でも強い光量で撮る。逆に、白飛びが心配な被写体では、望遠側でも弱い光量を使用すればよい。さらに、FD-1によるフラッシュの光量切り替えと、TG-4の露出補正を使えば、よりクリエィティブに撮影できる。新しいファームのTG-4は、フラッシュ光の補正と露出補正を別々に設定できる。フラッシュ光を±0。露出補正をマイナス2に設定すれば、ぶれずにきれいに撮れる。これも便利な機能だ。

トゲアワフキの仲間。大きさは1cm弱。被写体は日影になっているが、風が強く、背景の自然の光も強すぎたので、露出補正をマイナス2に設定して、深度合成モードで撮影した。フラッシュ光はFD-1を使ってやわらかくした。

他のカメラでは、これほどくっきりと写すことは不可能だ

小さな昆虫を、超クローズアップ撮影で魅力を引き出したいと思い、フラッシュアダプター FD-1を携えて、タイに出かけた。メインの被写体に選んだのは小さなツノゼミだ。胸に不思議な角を持つツノゼミは、魅力的な被写体だ。しかもアリと共生するなど、生態的にも大変面白い。大きさは5mmぐらいしかない。その小ささゆえに、一眼レフカメラでとらえるのは難しく、ついつい敬遠してしまう被写体だ。しかし、TG-4に、FD-1を取り付けて使えば、考えられないほど高画質の写真が撮れる。

まずは、バンコクの街中、チャオプラヤ川が蛇行した、中州にあるSri Nakhon Khuean Khan Parkに出かけた。緑豊かな公園で、生き物が多い。しかし、広すぎて、なかなかツノゼミのいる木が見つからない。ツノゼミは体長わずか5mmの昆虫であるから、探すには老眼の身にはちょっときつい。それでもがんばって、数種のツノゼミを撮影。アリと共生するシジミチョウの幼虫も見つけた。ゴクラクチョウカの葉にいたゾウムシは2mmほどしかなかった。さすがにTG-4でも小さすぎる被写体だが、フラッシュを使った深度合成モードで撮影してみた。写真を見ると目では見えない毛が生えていることに気がつく。他のカメラでは、こんな小さな被写体を、これほどくっきりと写すことは不可能だ。

最初に見つけた小さなツノゼミ。5mmほどしかない。

ゾウムシはこんなにも小さい。

FD-1を使っての通常撮影。

FD-1を使って深度合成モードで撮影。

常にFD-1を取り付けた状態で撮影

次に訪れたカオヤイ国立公園では、きれいなカノコガの一種やカマキリの子ども、葉裏のハチの巣を撮影した。FD-1を介してのフラッシュ撮影は、被写体までの距離が30cmまでの、マクロモード時以外でも使用可能だ。補助光的に使うなら1m以内だったら問題ない。もっと離れていてもキャッチライト的に使えるので、常にFD-1を取り付けた状態で撮影した。

ハチの巣を少し遠くから撮影。FD-1の光は、ほぼ画面内をカバーする。

花にいた美しいカノコガ。FD-1のフラッシュを光量弱で使用。お腹の青い鱗粉の色を出すと同時に、露出補正して逆光を活かす。

葉陰に隠れていたハエトリグモ。こうした物陰にいる被写体にもFD-1の光が良く回るので効果抜群。

フタオチョウの仲間。FD-1を用いて接写。

覚悟を決めて撮影に臨む

ツノゼミの撮影は、バンコクの南東120kmにあるシラチャの街を起点とすることにした。工業団地がある町で、日本人も多い場所だ。案内してくださったのは、現地の建設会社に勤める昆虫好きの方で、ツノゼミにも造詣が深い。街の近くの裏山にもツノゼミは多く住んでいる。身近なところに意外な穴場があると思ったが、ぼく一人では簡単にはいかない。案内してくれた方のおかげで、見つけることができるのだ。その後も、タイ南東部を中心に1週間がんばったおかげで、かなりの種類のツノゼミを撮影できた。

はじめて撮影したカネジャクツノゼミ。大工さんが使う曲尺(カネジャク)に角の形が似ている。(TG-4にFD-1を取り付けて撮影)

カネジャクツノゼミを上から見るとこんな形。(TG-4にFD-1を取り付けて撮影)

オウシツノゼミは8mmぐらいの大きさ。ツノゼミとしては、比較的大きい。(TG-4にFD-1を取り付けて撮影)

ツノゼミ探しは、アリ探しでもある。ツムギアリという樹上に葉を綴って巣を作るアリがいる。ツムギアリはツノゼミの出す蜜(排泄物)が大好きである。ツノゼミは、ツムギアリと一緒にいることで、外敵から身を守る。相互に利益のある共生関係だ。ツムギアリがいれば、ツノゼミを発見できるチャンスが大きい。ただし、ツムギアリは、大変攻撃的なアリで、葉に触れるとすぐに噛みついてくる。1匹や2匹ならよいが、何十匹というツムギアリに、集られることを覚悟で、撮影に臨まなければならない。幸い、毒はないが、噛みついて蟻酸を拭きかけるので、痛いこと痛いこと。

面白い形のミドリズキンツノゼミのまわりには、いつもツムギアリがたくさんいる。(TG-4にFD-1を取り付けて撮影)

ツノゼミの幼虫がいつ蜜を出すか分らないので、ぼくはずっとカメラを構えている。実は、この時が一番ツムギアリに攻撃されたのだ。耐えきれずカメラを離したとたん、ツノゼミが蜜を出した。結果、ベストショットは叶わなかったが、今までの中では一番よいシーンが撮れた。ツムギアリの攻撃もよい思い出となった。

ツムギアリは樹上の木の葉を綴って巣を作るアリ。攻撃してくる。(TG-4にFD-1を取り付けて撮影)

ミドリズキンツノゼミの幼虫が、ツムギアリに蜜を与える場面をようやく撮影できた。(TG-4にFD-1を取り付けて撮影)

水中で小さな生き物を撮る際にも、FD-1は大活躍する

シラチャから3時間ほど離れたカンボジア国境近くに、きれいな川があったので、TG-4にFD-1を付けたまま川の中に入れて、空をバックに小さな魚を撮影した。また、泊まったホテルの池にグッピーがいたので、こちらも撮影。FD-1の光はやわらかなので、魚のディテールが飛んでしまう心配はない。露出補正をアンダーに設定することで、動いている魚もぶれずに撮影できる。水中で小さな生き物を撮る際にも、FD-1は大活躍する。

小川の流れの中にカメラを入れ、空をバックに小さな魚をFD-1でフラッシュ撮影。魚がぶれず、背景が白く飛んでしまわないように、露出補正はマイナス2の補正をした。露出補正とフラッシュ調光を別々に設定できるのはとても良いことだ。

まわりの雰囲気を生かしたければ、LEDライトガイドLG-1の出番

夜、ホテルの歩道の柵に飛んできた、巨大なキョジンツユムシを撮影した。虫そのものを高画質に撮りたければ、FD-1を使うのがよいが、まわりの雰囲気を生かしたければLEDライトガイドLG-1の出番である。光量の多いフラッシュではなく、TG-4のLEDライトを使うので、ISO感度は上がってしまうが、背景を生かした写真が撮れる。

FD-1をTG-4に取り付けて撮影。クリアーだが背景が真っ暗なので雰囲気が出ない。

LEDライトガイドLG-1で撮影。ISOは1600に上がってしまったが、雰囲気のある写真となった。

TG-4は、アウトドアで撮影する者の強い味方

Stylus TG-4 Tough(タフ)はその名の通りタフなカメラである。陸上はもちろん、水中撮影も大丈夫。落としても壊れない。TG-4は、アウトドアで撮影する者の強い味方だ。TG-4と、FD-1もしくはLG-1の組み合わせは、マクロ撮影には、なくてはならない。今年はこれで小さな生き物を、どんどん撮影していきたいなと思っている。

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デジタルカメラ

STYLUS TG-4 Tough

F2.0の明るいレンズと顕微鏡モード、さらには各種の水中モードやGPSなど、過酷な環境下でも、最高の瞬間を逃さない多彩な撮影機能を搭載したタフシリーズ最高峰のカメラ。

コンパクトデジタルカメラ用アクセサリー

フラッシュディフューザー FD-1

FD-1は手持ちでマクロ撮影を行うためのアクセサリーです。TG-4内蔵のフラッシュを利用してライティング。暗いところでのマクロ撮影や昆虫など動きのあるものを撮影する際に使えます。

コンパクトデジタルカメラ用アクセサリー

LEDライトガイド LG-1

LG-1は、TG-4本体のLEDライト光を点灯して撮影するので、被写体を目視しながら撮影できます。